「世界文化遺産」地域連携会議 | 設立趣意書 |
役員 | 規約 |
メンバー | 活動 |
20110607
「世界文化遺産」地域連携発足会
私は、この会の発足に際し「呼びかけ人会」の事務局の、1つを受け持っておりました、関西の広域組織、歴史街道推進協議会の井戸と申します。
また、冒頭ペーパーの一番下に書いておりますように、終了後、この会場の地下で交流会、また朝っぱらからからこういうのも何なんですが、夜には東京駅近くで懇親会も予定しております。お申込みをされていない方のご参加も可能ですので、そちらの方も宜しくお願い申し上げます。
本日は実は文化庁から、文部科学副大臣の笹木竜三さんがお越しになる予定でございましたが、残念ながら急なご用が入られたということで、本日はご欠席ということでございます。
そして文化庁、世界文化遺産室長の小林様でございます
次に、歴史まちづくり法等を所管しておられます国土交通省、景観・歴史文化環境整備室長の岸様でございます。
<出席者ご紹介>
ご承知のようにわが国には現在11地区の世界文化遺産がございまして、関係する市町村がこの表のようになってございます。
今回、その全ての関係市町村にお声がけをさせていただいきました所、表の右側にございますように、ほぼ、全地域にご賛同をいただきまして、本日この日を迎えるに至っております。
登録順に本日ご出席の方をご紹介させていただきます。
1993年の第1号指定地は「法隆寺地域の仏教建築物」と「姫路城」でした。
翌94年の「古都・京都の文化財」から、門川・京都市長様。
95年の「白川郷・五箇山の合掌集落」から、田中・南砺市長様。
98年指定の「古都・奈良の文化財」からは、奈良市長様の代理で、西手参事様。
翌、99年の「日光の社寺」から、日光市長様の代理で、観光交流課長の海老原様。
2000年の「琉球王朝のグスク及び関連遺産群」からは2市3村に参加表明をいただいておりますが、本日は沖縄県の糸洲主査様にご臨席いただいております。
そして、現在の所、最も新しい指定となっておりますのが、2008年の「石見銀山遺跡とその歴史的景観」でごさいますが、大田市は現在議会開催中ということで、島根県の土江課長様においでいただいております。
さて・・・この会ですが、市町村長様、また行政スタッフの方々だけの会ではございません。
元JNTO理事で松蔭大学観光文化学部長の澤田様。
正面に向かって右側に移りましてJNTOでソウル・NY事務所を取り仕切ってらっしゃった谷様。
神戸新聞執行役員東京支社長の皆川様。
最後に、私のお隣が東洋大学・国際地域学部の島川さんでございます。
<討議事項1・2>
これをもって会の発足趣意書とさせていただきたいということですので、読みあげさせていただきたいと思います。
以降20年近くの間、「顕著な普遍的価値」を持つ文化遺産としては11箇所が登録され、各々の課題を抱えつつもその維持保全や周辺整備、あるいは「持続的な観光」の推進といったテーマに取り組んできた。
しかし、残念なことに、世界文化遺産に関連する各市町村間で遺跡の保全やそれを核としたまちづくり、観光のあり方等について日常的かつ広範に情報交換し、互いに啓発しあっていくような場は十分に設けられてこなかった。
文化遺産の維持保全については、いかに百年千年のスパンでそれを達成していくか。
文化遺産を核としたまちづくりの長期計画を作成し、それをどう形にするか。
観光に関しては、世界文化遺産の魅力をいかに発信するか、また時間の経過にともなう「ブーム」の衰退や観光客増がもたらすマイナス要因をどう捉え、「顕著な価値の普遍性」を次世代に継承していくか、といった点などである。
まず必要なのは、各地域が過去おこなった取り組みやこれからのビジョンを披露しあうことを出発点に、相互に応用可能なヒントを探り出していくといった作業であろう。
各関連市町村のトップが一堂に会し、また日常的な交流を始めて行くことの第一の意義は、各方面での理念、ノウハウ、情報などの共有と相互活用にある。
会を発足させる二つ目の意義は、世界文化遺産に対するより広範な支援の獲得である。
民間セクターとの関係においては、例えばメディアや旅行会社、スポンサーといった協力者に対する共通の窓口を設けておくことにより、支援の輪を大きく拡大していくことが期待される。
また、世界文化遺産は「観光」の語源となる「国の光」の最たるものとしてすでに国際的認知を得ているが、「観光立国」を旗印とする観光庁においてすら、それらを積極的に評価・支援・活用していく気運は十分とは言えない。
会の結成が目指す第二の点は、各関係地域が共同行動を起こし円滑な外部支援を受ける体制を作るとともに、国等に対して広範な提案をおこなうことによって、やや行き詰まり感を見せ始めている現状を打開・改善していくことにある。
そして第三の意義は「無理のないゆるやかな連携」の中で、地域自らが様々な共同事業を形にし、各地域のさらなる活性化や事業支出の効率化を図っていくことである。
大きな資金負担なしに実現可能な共同・連携事業は多数、考えられる。参加意思をもつ地域間での事業(例えば海外・東京などでのPR活動)、複数地域に共通するニーズを満たすための事業(例えばイベントやゴミ持ち帰り運動)、ある地域が企画する事業(例えばシンポジウムや市民交流)に会や他地域が協力していくことなどである。
わが国の文化・観光を振興し、新しい地域づくりを先導するという面でも、世界文化遺産に関連する地域が主体的に、何らかの共同事業・連携事業に取り組んでいくことの意義は大きい。
それでは次に討議事項の2、会の規約案についてお示しさせていただきたいと思います。
こちらもすみませんが、読み上げさせていただきます。
討議資料2:「世界文化遺産」地域連携会議規約(案)
第1条(名称)
本会は、「世界文化遺産」地域連携会議(以下「会」という)と称する。
会は、日本国内の「世界文化遺産」に関係する市町村とそれに関連する専門家や市民リーダーが連携し、相互の親睦を深めるとともに、文化財の永続的な保全やそれを前提とした観光と地域づくりのあり方、各種の共同事業実現などについて、積極的な情報交換をおこなうことをその目的とする。
1 会は世界文化遺産を有する日本の市町村長、世界文化遺産・地域づくり・観光・地域連携などにかかわる専門家、地域リーダー、情報・観光関係者、行政スタッフなど、200名以内により構成する。
・・・ということで、さきほど冒頭にご紹介させていただいた皆様方に、本日ご欠席の方々のお名前を加えたものを、次の10・11Pに、別添資料としてつけさせていただいております。 規約の方にまた戻りまして・・・ |
2 新たに世界文化遺産に指定された地域を新メンバーとして迎え入れる。 3 メンバーの推薦により、新たな地域リーダー、専門家、メディア関係者などを会議に迎え入れることができる。 4 行政関係者は原則として役職をもってメンバーとなるが、役職を離れた際にも個人として引き続き会に参画することができる。 |
5 国の関係者、世界自然遺産、無形の世界文化遺産、世界文化遺産暫定リストに登録された地域は、メンバーに準ずる立場として会に参画することができる。 |
第4条(役員・委員等) 会に次の役員・委員等を置く。 |
会長、副会長は総会において市町村長の中から選出する。 会長は会を代表する。副会長は会長を補佐し、会長に事故等がある際にはその職務を代行する。 |
幹事は各市町村長および民間人若干名から構成し、会の活動全般について協議する。 監事は会の会計を監査する。 運営委員は会の運営の実務を担い、議案の作成等を行う。会長、副会長組織の実務者に加え、当分の間、民間からの幹事がこれを兼務する。 |
世話役は役員・運営委員等からの指示による事務的作業とあわせ、メンバーからの意見・情報の集約や広報業務に従事するなど、会の当面の事務局役を担う。
第5条(総会)
全メンバーを対象とした定例総会を年1度開催し、事業・決算に関する報告や会の運営に関する意見交換などをおこなう。
国への要望活動等を実施する機関として、市町村長会を設ける。
メンバーは会の内部に、特定のテーマに関わる研究会や、地域別・地方圏別・業種別・年齢別などの連携チームを設けることができる。
第8条(事業年度)
各年4月1日から翌年3月31日までを事業年度とする。
この規約に定めるもののほか、協議会の活動に関し必要な事項は、会長が定める。
・・・と言うことで、規約としては最低限のことだけを書きあげたものですが、今後、会の発展に伴って色んな不都合が出てくれば、これに少しずつ加筆・改訂を加えていけばいいのではないか、という考え方をとっております。
とりあえずの発足時のものとしては、これでよろしいでしょうか?
(拍手)
有難うございます。
これを持ちまして、皆様方のご参画によりまして、めでたく会が発足したということなります。
ではここで、本当は笹木・文部科学副大臣よりお祝いのメッセージを頂くところなんですが、すみませんが、文化庁の小林室長からご代読いただけますでしょうか?
<笹木副大臣ご挨拶(代読)>
また本会にお招きいただきましたことを御礼申し上げます。
皆様ご案内の通り、世界遺産としては現在911件が登録されており、わが国の文化遺産としては11件がこれに含まれております。
また、わが国の暫定一覧表記載物件としては13件が記載されているところです。
文化遺産としてはわが国からは平泉を、またフランスからのル・コルビュジェ作品として国立西洋美術館本館が申請されており、6月のパリでの世界遺産委員会において審議されることになっております。
世界遺産の新規登録につきましては、その審査が非常に厳しさを増しているということでございますが、登録後におきましても、それをどう適切に保護・保全していくかという視点が最も重要です。
また、その保護の過程においては、地域住民の参画が必要不可欠であると考えております。
第1に、文化財の「保存と活用」の両立を図るために、関係する省庁が連携していくことが不可欠であると思います。例えば、世界遺産を活用した観光の問題につきましては、文化庁だけではなく観光庁などとの連携が必要です。
第2に登録された文化財を手厚く保護し、確実に1000年先にまで伝えていけるような取り組みを構築して行くことが必要だと思います。
第3に、暫定リストや暫定リストへの記載を目指す地域において、「歴史文化を活かしたまちづくり」への気運を保っていくことが重要であると思います。
このような観点の下、世界文化遺産を持つ各地域の市長さんなど地域リーダーが連携し、各種の理念を共有し、ノウハウを相互活用ししていくとことを目的とする、この会が結成されることの意義は大変大きいものと考えております。
それでは、この会が世界遺産に関する地域連携の一歩となることを祈念し、私のご挨拶とさせていただきます。
(拍手)
有難うございました。それでは会の討議の方の最後、進めて参りたいと思います。
討議資料の3、役員等の選出についてでございます。
まず、関係市町村長様から選出する会長・副会長でございますけれども、会長には門川京都市長、また副会長には1番指定地の姫路市長様・斑鳩町長様、そして同じような人口規模の地域を代表するという意味で、先輩格の所から、政令市の広島市長様、中核市の奈良市長様、また東の代表という意味も含めて、日光の市長様にご就任いただけないかという案でございます。
次に、会長・副会長に次ぐ役職の「幹事」ですが、これはよくあります常任理事や理事といった役職に相当するものですが、将来、社団法人格等を取る可能性も残しておこうということで、この「幹事」という表現を使っております。
それに加えて、文化財・地域づくり・観光の各分野で働き盛り世代の専門家のお三方、工学院大学の後藤先生、京都府立大学でイコモス委員でもいらっしゃいます宗田先生。また観光分野・NPOの代表として大社さんに入っていただいてはどうかという案でございます。
最後に事務局的な機能をどうするかということでございますが、当面は歴史街道推進協議会の私・井戸が全体の事務を受け持たせていただきまして、同時に東日本と観光分野については東洋大学の島川さん、西日本と文化財分野を蘭島(らんとう)文化財団の花岡さんに助けていただきまして、3名で皆さまの「お世話役」を務めさせていただければと考えております。
もちろん近い将来に会の活動が大きくなっていくようでしたら、独立した事務局を設けるとか、副会長を増員するとか、あるいは監査、運営委員を増員するとかといったことも必要になってくる可能性もあるかも知れませんが、スタート時点ではこの体制くらいからでいいのではないか、という案でございます。
何かご意見はございませんでしょうか?
それでは、会の役員等についてお謀りいたします。
このような形でよろしゅうございますでしょうか?
それでは、会長になられました門川京都市長様より一言ご挨拶をいただきまして、以降の進行役をお願いしたいと存じます。
門川会長、よろしくお願いいたします。
(門川会長)
「世界文化遺産」地域連携会議の会長に選んでいただきました、京都市長の門川です。
どうぞ宜しくお願いいたします。
本日ここに、わが国の世界文化遺産に関わる11の地域の皆さん、そして今日まで世界遺産の素晴らしさにいち早く気づかれ、献身的なお取り組みをされてきました有識者の皆さん、また情報関係、観光関係、地域リーダーの皆さん。 そして中央官庁の皆さん、
また、呼びかけ人の皆さま含め、多くの方がたのお力があって、本日、この会が開催することができましたことを、心から御礼申し上げます。
世界文化遺産に直接関係する、自治体やご関係者による、こういった会があったらいいなあ、必要であるなあ、とかねてから言われていました。私どももそう感じてました。
しかし、あったらいいなあという話と、実際に作るというのは別のことでございまして、大変な努力が必要だなあということを改めて実感いたしております。
ご尽力賜りました皆様方に心から御礼申し上げます。
しかし、だからこそ連携が大事だ、ということも言えると思います。
例えば観光についても積極的にアピールして観光振興していこうという地域もありますし、「これ以上、観光客に来てもらうよりは、保全の方にシフトしていく、その方が大事だ」と考えておられる地域もおありになると思います。
そういった様々なお考えがある中で、我々はこの会として何をしていくんだ、ということですが、今、副大臣のお話にもありましたが、千年後まで必ずこの世界遺産を守って行くんだ、伝えていくんだ、そのために今を生きる私たちが、それぞれの地域で、また連携して何をするのか。
国に提案していかなければいけないこともあるでしょうし、また私たち地方自治体も縦割り行政の壁を打破して取り組んでいかなければいけないのだと思います。
やはり関係者が一堂に会して、それぞれの地域の成功事例なども参考にしていきながら力強く前進していく、そんな会にしていきたいと思います。
しかし、東日本の地震がありましたが、自然災害など、千年に1回の想定外のことが起こるのが歴史であります。
京都では例えば清水の周辺に「水のカーテン」 小学校のプール10カ所分の水を常時蓄えておけるようにいたしました。そんなことだけでも、京都だけでも莫大な資金が必要になります。
イタリアでは「世界遺産を守ろう」という法律ができたようにも聞いております。
そういったことを考えております中で、昨日、交流会である地域リーダーの方とお話をし、大変感銘を受けた次第でございます。
最も大事なことは、この場を、お互いの苦労やノウハウに学びながら、全地域で共通するテーマ、例えば「世界遺産を1000年後にきちんと継承するのはどうするか」ということに対し、率直に意見交換していくことではないかと思います。
そのような会にしていくよう努力していくことをお誓いいたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。
<会としてこれからどんなことをしていくか>
それでは、進行の方をさせていただきます。
これから皆様と、できるだけざっくばらんな雰囲気で、率直に意見交換していく会にしとうございますので、皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
(井戸)
お手元のファイルにあるもう1つの資料、参考資料と書いたものをご覧下さい。
各地域から実は事前アンケートを取らせていただいております。また、ここまでに皆さまから色々なアイデアをお出していただいております。そういったもの合体させまして、十分なものではありませんが、議論のタタキ台をご準備させていただきました。
市町村からのニーズが高かったのは1つが国への要望活動、1つが記念事業などに対する相互協力、1つが地域づくりや文化財保護などの情報交換、もう1つが東京や海外へのPR活動といった分野でした。
しかし、どの項目にも「あまり興味はない」といった回答はほとんどございませんで、事業ニーズ自身は割と各分野にまたがって存在しているということを感じました。
次に2Pに、今後、事業を推進していく際の基本的な考え方について、まとめております。
まず1つは、会が当面目指すのは、わが国の世界文化遺産関係者、共通の「プラットホームづくり」だという点です。そして、あまり焦って事業展開に走るというよりも、発足から2−3年は議論や知恵出しに重点をおくという感じでいいのだろうということです。
ただ、議論や知恵出しの柱には2つあるように思います。
1つは、特に市町村長さんには、先ほど門川会長もおっしゃっておられましたが、「文化財をどうやって1000年先に伝えるのか」といった、次元の高い議論をしっかりやっていただかなくていけないと思います。
2つ目はそれと同時に、並行して色々な事業のアイデアを揃えておくことが大事だと考えております。その部分をやっておきませんと・・・例えばシンポジウムをやった、パンフレットができた・・・だけどその次に何をしたらいいか分からないといった組織になってしまうことが、こういった会では往々にしてあるように思えるからです。
そういった中で、事業アイデアを一定整理・分類していくことも必要だろうということで、まず@ですが会の事業には、第1に「交流と意見・ノウハウ・アイデアなどの交換」、第2に「共同事業・共同行動の実施」、そして第3に「情報発信・観光事業」という、3つの分野があるように思います。
またAですが、当然、各事業はその実施時期を「当面」、「中期」、「長期展望」あるいは「将来の夢」、に分けて考えていくことが必要だと。
さらに、B地域の参画という面では、11地区全部でやるものと、一部のやりたい地域だけが連携するものに分かれていくはずです。
各地域はそれぞれ個性や事情や規模が異なりますから、全てを皆でやろうとすると、必ず行き詰ってしまうという感じもいたしますし、逆に複数の地域に共通するテーマがあれば、それに参加したいと思う地域だけが「この指とまれ」でやって行きつつ、後の地域はそれを暖かく見守るといった感じが美しいと思います。
最後に、費用面からですが、5つくらいのパターンがあるのだろうと思います。
ということで、3P以下に、ここまでに出てきているアイデアをまとめ、分類しております。
まず、活動分野の1つめは「交流と意見・ノウハウ・アイデアなどの交換」ということで、3Pから6Pにはアンケ−ト等から、各地域が一体どんな問題を抱えているのかについて、基本的なところをまとめております。
ほとんど全ての地域・・・あるいは全てではないけれど、規模や環境がよく似た複数地域に共通するものがかなりあるな、というのがお分かりいただけるのではないかと思います。
例えば保全に対する住民理解をどう促進するのか。あるいは防災対策をどう講じていくのか。さらには国の支援策をもう少し包括的に一本化してもらえないか、といったことは殆どの地域に共通する問題でしょうし・・・例えば、いくつかの農山漁村部の地域は「小規模だけどより大事な活動」への支援策があまりなくて、過疎化や高齢化が進む中、もっぱら地域や住民有志が世界遺産保全上の大きな役割を担わざるを得ない、といったことが共通の課題の1つとになっているというようにも思います。
いずれにせよこの会を通して、とりあえずは地域や立場が違うメンバーが、いくつかの共通項目に関する情報を、積極的に交換できるようにしていく、ということが、この会のメインストリームなのではないかと思います。
また7Pから9Pには、各地がこれまでどんなことに取り組んできたかをまとめております。
基本的なことばかりで、これ以外にももちろん色々あるのだろうと想像しておりますが・・・・各地域間で、そういったノウハウや考え方を相互活用できるようにしていくことも、会の重要な役割ではないかと思います。
次に9PのA、年に1回集まることも大事だけれど、日常的な情報交換がより重要だと思います。とりあえずは民間メンバーを少なくとも中心にしまして、メーリングリストをできるだけ早く立ち上げたいと考えております。
また、そういった情報交換を色々やっていくうちに、例えば地域ごと、地方圏ごとなどの分科会や、同じ問題を抱える市町村や関係者どうしの会と化、またNPOどうし、あるいは商工会議所や青年会議所どうし、博物館や宿泊施設どうし・・・といった形で、この会を起点に、世界文化遺産関係者のネットワークがどんどんできるようになれば、素晴らしいのではないかと思います。
10PBは調査研究です。
また範囲では世界遺産全体のものから、各地域単位のものなど色々あろうかと思いますが、先ほど会長も仰いましたが、京都府立大学の宗田先生からは「イタリアのような世界遺産特別法を是非、皆で研究したらどうか」といった相当レベルの高いご提案もすでに戴いているところでございます。
一方では10Pの囲みにあるように、これは各地のお祭りを1月から12月まで並べてみたものですが、例えばこうしたことを通し、どうしたら世界遺産を通して日本の魅力を海外に知ってもらうことができるのかを考えていくのも面白いテーマだと思います。
その最たるものはAの要望活動ということになりますが、できれば1年くらいの議論の期間を経て、要望内容をまとめて、1年後くらいには国への要望・提案活動を実施できるようになればいいのではないかと思います。
その前に、@にあるような「会としての理想や将来の夢」を共有化していくことが必要だと思いますし、実はこの点が今日一番、皆様のご意見を頂戴したい部分です。
以外に、13Pまでに今までに出ているアイデアをまとめていますが、A共同の広報体制を構築するとともに、C平泉の指定も間近ですから、何か東北地方のお手伝いになるようなことを考えていくのも1つだと思います。
13Pに行きまして、実は中期的には(2)@にありますように、あと2年後からは斑鳩や姫路を皮切りに「指定20周年ラッシュ」が続きます。
お互いに連携・協力しあえる所はどんどんやっていくべきだと思います。
もう1つ、社会運動のようなものも何かできるのではないかというアイデアもございます。
例えばA11地区が連携して「観光ゴミの持ち帰り」宣言をやっていけば、やがてそれが日本の観光地の常識になる・・・といった話もまんざら・・・まんざら夢ではないような気がいたします。
最後、13ページ下の方からが、3つめの活動ジャンル、「情報発信・観光事業」です。
例えば、14PCにございますように、すでにいくつかの地域が盛んに海外プロモーションをされていますので、これらに連動した形で何かを始めていくということが可能かも知れません。
中期的には一緒に海外で「JAPANブース」を構えたり、東京で共同のイベントをやってみたり・・・と、特にこの方面では色んなことが考えられようかと思います。
・・・ということで、皆さまからいただきましたアイデアを、ざっと20ほどの内容にまとめてみました。
<意見交換>
非常に簡潔にまとめていただき有難うございます。
まずは小城副会長から各首長さん、一言ずつお願いいたします。
指定から何年か経って、当時京都市長の桝本さんが中心になって、当時、世界遺産に登録されていた地域間の会議を何回かやったことがあります。しかし、その後、何年かで立ち消えになってしまいました。
私は堺屋太一さんが提唱された歴史街道計画を通して井戸さんとのおつきあいが25年ほどになりますが、この度、色々ご尽力いただいてこの会が結成されたことは本当に素晴らしいことだと思っています。
今後、重要だと思うテーマの1つはバッファーゾ−ンをどうしていくか、という点でしょう。
もう1つは今度、平泉が新たな世界遺産として登録されます。震災の中での登録であり、素晴らしいことですので、東北をどう支援していくかということも、この会の中で考えていきたいと思います。
そういった意味では今日、行政だけでなく、メディアや民間の方にも入っていただいて会を発足させることができました。
(久保田・宇治市長)
共通課題と個別課題のうち共通課題について言いますと、その1つが防災です。
文化財を守っていくのは各社寺ごとに、また地域の消防団などの皆さんも含めてやっておりますが、こういった共通課題へ取り組みに関し、今回は本当に幅広い皆さんにご参加いただいております。
皆さまのお知恵お借りしながら、この会を発展させていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
(眞野・廿日市市長)
共通の課題には遺跡の保護、文化の保護、観光、アクセスの問題など色々あろうかと思いますが、安心安全をアピールしていくということもそれに加えていかなければいけないでしょう。
想定外の災害にどう対応していくかということもそうです。
諸々の課題を抱えていりますので、この会はそういった意味で大変意義深く、有識者の皆様のお知恵をお借りしたいと思います。
(姫路市・岡本理事)
(広島市・福本次長)
もう1つの柱は、世界遺産をいかに観光に結び付けていくかということです。
今後も積極的に連携をさせていただいて、観光振興とともに、原爆ドームの保存に取り組んでいきたいと思っていますので、宜しくお願いいたします。
(奈良市・西手参事)
各地には本当に大きな違いがあり、例えば遺産の管理についても姫路市は姫路城そのものを管理されているけれども、奈良の場合は民間が管理されています。これから観光に生きるのか、それとも保存を重視するのかなどについても、それぞれに違います。
役所の中でも観光、文化財など複数の部署がそれに関わっており、どうやって調整していったらいいかなども含め、皆様のお考えを聞き、ノウハウを吸収して帰りたいと思っています。
(日光市・海老原課長)
観光振興と文化財保護をどう両立させていくのかということですが、日光で1番問題なのは世界遺産地域への車の乗り入れに関することです。何年も対策を講じてきてはいるのですが、内部だけではなかなか解決できない課題でもございますので、このような会の中で、いいお知恵があれば是非、参考にさせていただきたいと思ってます。
(沖縄県・糸洲主査)
琉球王朝のグスクが世界遺産登録されている沖縄県です。
色々な問題も出てきておりますが、この会議を通して皆さまのお知恵を集め、また各地域が連携をとって情報発信力を強化できればいいなと思っております。
同じような課題を抱えてらっしゃる地域もおありになると思います。皆さまがたと力を合わせて頑張っていきたいと思います。
(島根県・土江課長)
石見銀山の登録は2007年7月です。
保存と伝統技術の継承など、地域の課題解消に向けて、皆さまのご意見を活かしていきたいと思います。
この会の目的には文化財の保存とか観光とかがあるでしょうが、より大きく言えば日本文化の顕彰ということが何より大事ではないかと思います。
(藤本貴也:全国街道交流会議会長)
全国街道交流会議という立場で参加をしております。街道を通して歴史に遡って、未来を語っていこうという考えで始まったのが全国街道交流会議です。
この会で共通でできることを何か1つ、いいテーマを1つだけ選んでやっていくことがいいのではないかというのが私の意見です。
(糠谷真平:国民生活センター顧問)
役所の出身は今はもうなけなりましたけれども、経済企画庁です。
私には趣味が3つありまして、鉄道に乗り、温泉に入り、地酒を飲むことです。
今日は有名な場所の方ばかりで全部行ってきておりますけれども、時間もできましたので、また近くを通ることがあると思います。またお邪魔することがあると思いますので宜しくお願いします。
(毛利和雄:歴史ジャーナリスト)
世界遺産が911ある訳ですけど、その4分の1は都市にあります。
と言いますのは、世界遺産条約ができて来年で40周年ということで、今年の秋のユネスコ総会で、美しい歴史都市に関する勧告が出るというお話になってきています。
そういった視点で日本を見ていきますと、景観法もできましたし、歴史まちづくり法もできましたし、色んな手法ができ、美しい景観を作っていこうという方向に進んでいるんじゃないかと思います。
歴史まちづくり法については事業仕分けで予算がカットされているのは誠に残念でありますけれども、世界遺産を活かして美しい街づくりに取り組む、それがひいては美しい日本づくりにつながる。そういった方向の中で観光が振興される、といった姿を目指していけばどうかと思います。
こういった会を設けることによって、それをハブにして国際的な視点で、世界から価値に共鳴する人たちを集めていくことを考えていけばどうでしょうか?
お金にしても国から貰うといった話ばかりじゃなくて、民間が集める、海外からも集めるといった知恵をしぼっていくことが大事だと思います。
(門川会長)
最大の問題は日本には寄付文化があまりないということだと思うんですが、そういった意味では文化財をもつ各都市がうまく連携して税制改革というものを提言の1つに入れていかなければいけないと思います。海外に資金を求めるというのは1つの案だと思うんですが、その前に日本の中で、好意をお金に換えていくような仕組みを考えていくことが大事ではないでしょうか?
(門川会長)
(文化庁・小林世界文化遺産室長)
そういった意味ではこのような会を通して課題を共有し、行政だけでなく民間の方々も交えて会を発足されたのは大変素晴らしいことだと思っておりますし、この会の意見をこれから参考にさせていただきたいと思っております。
また、毛利さんも言われていましたように、来年が世界遺産条約ができて40年、また日本がそれを批准して20年という記念すべき年に当たっています。このような記念すべき年に向けて、この会で様々な成果がでることを期待しております。
(国交省・岸 景観・歴史文化環境整備室長)
本日はお招きいただき有難うございます。
本日出席いたしまして実感いたしましたのは、各地にはそれぞれ個別の課題もある一方で、共通する課題もあるということです。世界遺産をいかに活用し、次の世代に継承していくかが大変大きな課題であると感じました。
私どもはまちづくりの方面で歴史まちづくり法、景観法など、この会のテーマにもかかわる法律を所管しておりまして、国の対応が縦割りだというお話もありましたが、文化庁・観光庁などと連携を密に取りながら皆さまの思いを形にするよう力を尽くしていきたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。
(観光庁・瓦林国際交流推進課長)
私どもの仕事はインバウンド、外国人のお客様に日本に来ていただくために、日本の魅力をPR・情報発信していくということです。
そういった意味では私どもとしてはこういった形で各地域、各省庁が連携できるというのは大変嬉しいことですし、私どもにも色んな支援メニューがございますので、他省庁とも連携しながらお力になりたいと思っております。
一言だけインバウンドのお話をしますと、ご承知のように大地震や原発事故の影響で、残念ながら今までの日本の最大の魅力でもあった「安心・安全」への信頼が大きく揺らいでしまうという事態が発生してしまっております。現在、ここまでにやってきた通常のプロモ−ションを一旦棚上げするような形で、安心・安全への信頼回復に取り組んでおります。
メディア・旅行会社を招待するなど色んな形で、信頼回復に取り組み、また日本の魅力をPRしていきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
有難うございます。それでは今日は本当にたくさんの地域リーダーやご専門家の皆さまにご出席いただいております。一言ずつお言葉を頂戴したいと思います。
このように微力ではあるんですが、継続が一番大事だと思っております。しかも、日本には宝物が一杯あります。現実問題として輸入が駄目なら、来ていただくことが難しくなっているのなら、輸出、すなわち外国に持って行って情報発信することを考えていけばいいのではないかと思います。このような会を通して、皆さまのお力もお借りしながら、そういった活動をしていきたいと思います。
もう1つ、11月にロックフェラー財団のロックフェラーご夫妻が海洋自然保護のNPOの事業として来日されます。せっかくの機会ですので、世界遺産のある地域でイベントなどもやりたいと思っ
(糸永 正之:アラスカ大学フェアモント校顧問)
今日お越しの各地には色んな人がおられ、またツーリズム関係の分野などで成功している方もたくさんおられることと思いますが、残念ながらそれは「点」でしかないように思います。
各地に行けばどこにも地酒があり、地元の人は地元の酒が一番うまいなんて言う訳ですが、一方では世界遺産については「今さら指定されてもピンと来ない」という人が少なくないのも事実でしょう。これは世界中どこでも同じようなもので、よその人の目、海外からの集客によって、地元の人が価値に気づくということがよくあるものです。
先ほど観光庁の方が海外からの集客を積極的にやっていきたいとお話しされていましたが、そういったことをきっかけに外の人の目で各地を見てもらうことはとても大事なことだと思います。
もちろん動機づけには情報が必要です。が、日本はG8の中でも最も情報発信が稚拙だと言われています。行政サイド、地元サイドの目だけに固執せずに大いに海外に情報を発信していくことが大切だと思います。
今は日本に、恐らく朝鮮動乱以来と言っていいくらい世界中が注目しています。
京都駅ビルを管理しております。
京都に何度でも来ていただくことと合わせて、繰り返し古都・京都で日本の世界遺産を見てもらいたいと思います。駅前広場、ステージともに1000人くらい収容できます。使用料はいるのですが、そこは門川市長から色々ご提案いただければ、便宜を図らせてもらいます(笑)。
7月からは交通媒体、駅のポスター等を扱っているJR西日本コミュニケーションズという会社に
(大島直行:伊達市噴火湾文化研究所長)
希望することはただ1つです。150人規模の会ができたというのは、150人規模の会社ができたのとある意味、同じことです。この150人が常に情報交換できるシステムを是非考えていただきたいと思います。
(岡井健:NPO日光門前まちづくり理事長)
日光の門前町でまちづくりに取り組んでいます。
駅前から東照宮にかけての道路の拡幅がありまして、建て替えを含めた景観づくりをやってきましたが、今は震災で旅館が本当に大変な状態になっています。
街の立て直し、観光、色んなテーマがありますが、このような繋がりを作っていただき、参加させていただいて本当に有意義でした。
暫定リストの場所も含め、各地の魅力を紹介すれば、私たちの国の歴史が1冊で分かる、小学生や中学生、あるいは生涯学習などにも活用できる教科書ができるかも知れないと思いました。世界遺産や美しい街づくり。また非常に大きな価値。こういったものが1冊の本で・・・毎週1冊とかじゃ駄目ですよ(笑)・・・分かるようなものを作れば、各国語に翻訳したり、ブログで展開したり色々できるように思います。直観的なご提案ですが・・・。
(門川会長)
(熊崎俊介:旅行読売出版社 営業企画部編集担当)
創刊45年になる旅行読売の編集をしております。
各地域で頑張っておられる方、熱い思いをお持ちで何かをやりたくてウズウズしている若い人たちを巻き込んで、熱い熱い会にしていく中で、そういったことも考えていきたいと思います。
(結城公正:京都新聞東京支社長、齊藤相談役代理)
今日も神戸新聞の皆川支社長さんがお見えですが、各地の新聞社とスクラムを組んで、末長くこの会を支えていきたいと思います。
(澤田利彦:松蔭大学文化観光学部長)
大学に来る前、もともとはJNTOで40年近く、日本を海外に紹介する仕事をしていました。
(白鳥 哲也:まちづくりNPO 沖縄イケメン連)
沖縄から来ました、沖縄イケメン連の白鳥です。
2004年に松山でこのような取り組みが始まり、その兄弟分として去年、発足しました。
今、始めているのは「巡礼のルート」づくりです。
最近の旅行商品のキーワードは「健康・環境・癒し」ということで、今の時代にあった旅なんですが、ただ・・・沖縄の人はどこに行くのも車で、ほとんど歩きません(笑)。
そういった部分を外の者の視点、若者の視点で何とか変えていきたいと思います。今日も地元と外からの立場の関係といったお話が出ていましたが、イケメンという発想、若い力で、地元の皆さんに自らの魅力に気づいてもらいたいと思っていますので、宜しくお願いします。
(門川会長)
(須藤元:ベネフィット・ワン顧問)
航空会社、旅行業を40年強経験してきました。
日本のよさをこちらから売るというよりも、世界各地からの方に日本のよさを見ていただいて旅行商品にしていただくことが大事だということです。アメリカ人、中国人、みんな違う訳ですからね。
会の課題は文化遺産の保存など色々あると思いますが、まずは情報の共有化。そしてそれを発信していくことが一番大事だと思います。また行政や国に解決していただかなければならないことがあれば、会を通して提案して行く。そういった会を目指すべきだと思います。
微力ながらお手伝いします。
提案は先方からありました。サンチアゴでさえ、単品ではお客さんを呼び込めないということなのだろうと思います。
今日、こうやって関係者が一堂に会した訳ですから、世界遺産地域がうまい連携をとれるようになればいいなあと思います。
それから、紀伊半島の霊場と参詣道は3つの県にまたがっており、それぞれの県は頑張っているんですが、1つでやると価値は3分の1にしかなりません。
(辰巳裕:NPO奈良好き人のつどい理事長)
名前の通り、奈良が好きな人が集まっているNPOです。
この会の結成を通し、世界遺産が持つ魅力を皆で発信していければいいと思っています。
(島川崇:国際地域学部国際観光学科准教授)
熊崎さんのお言葉をお借りするなら、あり余るエネルギーをどうやって発散させたらいいか困っております(笑)。今回、東日本担当の事務局というか、お世話役を拝命しました。東日本、今、本当に大変な時期ですが、一生懸命やっていこうと思っております。
本職は東洋大学でサスティナブル・ツーリスムなどを研究しています。保存か観光かというお話がよくありますが「観光で保存」するということを考えていきたいと思います。
お見受けする限り、この会にもマグマが鬱積している方が何人かいらっしゃりそうなので、そういった若い力も集めて、会を盛り上げていきます。
一方、韓国人は自分の国に来てもらうことに本当に熱心で、空港などのアクセスをよくする、観光地の知名度を高めることに本当に貪欲です。
そういった意味では、先ほどからのお話にありましたように、観光と保存は相反する概念ではないと思います。
この会に参加させていただくことによりまして、そういったことももう一度考えていきたいと思っています。
(寺田 昭一:PHP研究所)
月刊「歴史街道」の創刊・編集に携わっておりまして、関西の歴史街道計画とは25年のつきあいです。私は大阪生まれなんですが、この歴史街道計画ができるまでは、正直言って伊勢は伊勢、京都は京都、奈良は奈良と言う感覚しかありませんでした。しかし、それらを繋いで「歴史街道」と呼ぼうという運動が起こり、視点が大きく変わりました。
現状では世界遺産という括りがあっても法隆寺は法隆寺・・・という感じしかしませんが、これを「点」から「線」「面」に連携させる中でどういうことが起こってくるのかが楽しみです。
例えば、色々なアイデアが紹介されましたが、お金がなくてもできることとして、観光ゴミの持ち帰り運動、これは行けるなあと。
観光ゴミの持ち帰りと、挨拶運動、この2つはとりあえずすぐにでもできるし、世界遺産地域が連携してやれば全国に広がっていく話にもなると思います。
(土居好江:NPO遊悠舎京すずめ理事長、京都文化観光研究所所長)
京都には多くの世界遺産がありますが、私は暮らしの中にある文化遺産を発信する活動をしております。
例えば、地震のお話を何人かの方がされていましたが、実は清水の舞台はまさにその活断層の真上に建っております。音羽の滝はその岩盤をくぐり抜けてあのような姿になっているのです。
世界文化遺産のハードという部分だけではなく、私はそこに込められた日本人の知恵、自然に寄り添った先人の考えを未来への羅針盤として、お伝えしていくような活動をしていきたいと思っています。
(門川会長)
もう12時が来てしまいましたが、せっかくですから全員にご発言願いたいと思います。
(富岡 哲也:交通新聞社情報事業部「トレたび」チーフエディター)
旅行雑誌の編集をやって14年です。
地元や日本人が誇りを持ち、課題についても共通認識を持つことが大事だと思います。
(中村直美:交通新聞社第1出版事業部長、「旅の手帖」編集部長)
「旅の手帖」でまさに今、世界遺産特集をやろうとしています。
暫定遺産も入れたりと色々工夫している所ですが、世界遺産がとても人気のあるテーマであることは間違いありません。が、何かプラスアルファーを考えた企画を加えていかないと思ったほど売れるテーマではなくなってきている、という点も熊崎さんが仰った通りだと思います。自分なりの心の世界遺産といったちょっとしたお遊びを加えるなど、色々工夫していきたいと思います。
あと、先ほどから情報交換のお話が色々出ていますが、皆さんと色々情報交換できるのがこの会の私の楽しみだと思っています。
形骸化しないといいなあということを思います。やはりフランクになっていくのが一番で、こういった四角いテーブルを囲むだけじゃなしに、できるだけ早い時期にみんなでどこかに泊まりにいくとか、そういったことの中で生きた情報を交換できるようになればいいのかなあと、そんなことを勝手に思っております。
姫路城の西側でまちづくり活動をやっています。と、言うよりも生まれ育った場所がたまたまバッファーゾンの中にあります。
私たちは地道に数十人から始めてきた団体ですが、私たちの地域は姫路城ではなく姫路を支えてきた町ですので、国際的なお話の一方で私どもの話も聞いていただき、また私たちも色々なお話を参考にさせていただきたいと思います。
そういった場所に住んでいる訳ですが、その日本列島の中にある世界文化遺産地でこういった会が結成されたことは大変素晴らしいことだと思っております。
また来年は記念すべき年だということですが、こういった会はお金がないというのが常ですので、そういった点はこちらで工面することも含めて、何か考えていきたいと思います。
(門川会長)
(羽生冬佳:筑波大学准教授)
私たちの大学では日本で唯一、大学院の中に世界遺産専攻があります。
さて、世界遺産は条約に基づいて指定されている訳ですが、「国際」ではなく「世界」を冠していることが特徴の1つだと思います。つまり、文化遺産を国と国との関係で語るのではなくて、国際という枠組みに中で語ろうということです。
そういった中で、このような形で集われた日本の関係地の皆さまは、世界に、参加した国の価値を認識させていくということが務めの1つでもありますので、そういったことをこの会議で議論していけばいいのではないかと思います。
ただ一方で、各地域はまちづくり、文化、観光という具合に、いわば全ての地域にも共通する課題を同様に抱えてらっしゃるということもあります。そういった面ではこの会議は、皆さんがいわばトップランナー的な役割の中で、モデル的な取り組みをおこなっていく中で、他の地域に何かを伝えていけるような成果を出していくといったことができればいいなと、今は思っています。
(皆川広一:神戸新聞執行役員東京支社長)
さきほどから出ておりますように、世界遺産は登録されるまではいいけれども、登録されたらそれを守り続けるという大きな責任が課されている訳でございます。
文化財保全の側面、市民生活の関わりとの側面、経済活動、観光との両立をどう図るかといった側面など、共通する悩みや課題について共に考えていこうといった組織が立ちあがったというのは本当に素晴らしいなあと思います。
この組織の立ち上げに関わられ、世話人になられた井戸さんは何と姫路城から400mの所で産湯を使い、学生時代は早稲田の競走部で駅伝をやっておられたということで、最高のランナーといえるかも知れません。
門川会長が仰ったことにも大変感銘を受けました。
と、言うことで・・・共にいい汗を流しながら、頑張っていきたいと思います。
世界遺産関係地でもおもてなし、防災など課題は沢山あります。
現在、旅行業界も大変で、このGWは九州だけが2・5倍、あとはどこも大変という状況です。
(山上直子:サンケイ新聞文化部)
我々マスコミは世界遺産に登録される時は盛んに報道する訳ですが、それが過ぎると反対に問題点ばかりを報道するような所があります。
皆さんから色々な問題点を教えていただいて、それをどうしたらいいのか、さらに多くの人たちにも考えていただく。
私自身は地域再生という話の中で観光と関わり始めました。
本業の方では国際的な情報発信を今までとは違い違う形でいかに広くやっていくかということで、電波、インターネットの仕事もやっております。
(白川郷自然学校の西田様、近畿日本ツーリストの福井様は定刻にご退席)
有難うございました。
情報の面では世界への発信をどうしていくか、連携という面では広域連携だけではなく民間との連携が大事だと言うお話などもありました。
今日お越しの地域にはそれぞれに素晴らしい世界遺産がある。その最高の価値に気づいてもらい、それを保存し、観光に活用する。1000年先にも世界遺産が保存され、活かされているそんな日本づくりにともどもに頑張っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
さて、私は教育長時代にいつも行っていたことがあります。
平凡な教師は「言って気づかせる」。
この会の発足には井戸さんはじめ、多くの方々のご尽力がありました。
最後に、皆さんにも皆で拍手をしたいと思います。有難うございました。
(拍手)
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