「世界文化遺産」地域連携会議 設立趣意書                  
役員 規約                 
メンバー     活動                 


 TOP

 「世界文化遺産」地域連携会議 H25年度総会 議事録(2013・8・20:霞が関ナレッジスクエア・スタジオ)

島川(お世話役)

 皆様お待たせいたしました。本日はお暑い中、多数の皆様にお集まりいただき本当に有難うございます。ただ今より「世界文化遺産」地域連携会議の平成25年度総会を開催させていただきたいと思います。私は本会のお世話役の一人、東洋大学の島川崇と申します。それでは開会のご挨拶と会の進行を当会会長の京都市・門川市長にお願いしたいと存じます。

 門川会長(京都市長)


 皆様こんにちは。会長を仰せつかっております、京都市長の門川大作です。先ほどまで国会議員の先生方の所などを回っておりまして、少し遅くなり申し訳ありません。「世界文化遺産」地域連携会議、2年前に全国の世界文化遺産を有する市町村長、また志高く、各地で世界遺産に関わっておられるご関係者の皆様とともに発足することができました。
 2年間の活動を経て、この会は世界文化遺産に関わる関係者が積極的に知恵や情報を交換し、さまざな事業を実現するための、有意義な「プラットホーム」としての役割を果たせつつあると思っております。関係省庁の皆様にも様々なご支援を戴いております。皆さまのご協力に、心から感謝申し上げます。

 さて、東日本大震災はじめ、何かと厳しいこの間の日本の状況でございます。明るいニュースが少なかった訳ですが、世界遺産に関しては平泉の登録含めとても嬉しい出来事がありました。
 お隣に、ユネスコの前事務局長の松浦晃一郎顧問がいらっしゃいます。有難うございます。昨年はユネスコで世界遺産条約が採択されてから40年にあたるという世界的にも記念すべき年であり、平泉・富山・京都・高野山でユネスコの最終会合などが開かれました。世界遺産の過去・現在・未来について語られ、京都ビジョンが策定されました。その中で、いかに地域との連携が大事であるか、また世界遺産を次の世代に伝えていく、守っていくことがいかに大事なことであるかということについても再確認されました。
 同時に、今日も小城(こじょう)副会長もお見えですが、わが国における第一号指定である法隆寺・姫路城が今年ついに登録20周年を迎えます。来年は京都が20周年でございます(笑)。

 さらに、我々にとってとても嬉しいニュースは、富士山の世界文化遺産登録です。富士山のご関係ではすでに、関連する9つの市町村がこの会への入会の意思表示をされており、本日はその中から3名の市長さんにお越しいただいています。
 ご入会を心から歓迎いたします。志を同じくしながら、お互いよく似た問題を抱えております。ともに学び、ともに考え、ともにがんばって打開策を見出して行きましょう。先ほども国会議員の先生方の所などを回り、そういった様々な問題について話して参りました。同時にイタリアにある世界遺産特別法のようなものを、日本でも作っていこうではないか。そういった話もして参りました。

 ではこれから議事を進めたいと思いますが、これについてはできるだけ簡潔に、手短にすませ、後半の部で皆様から、次のステップに向けての、ご意見やアイデアを出して戴きたいと思います。交流会も含め、できるだけ多くの方々にご発言いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、進行役を務めさせていただきます。なお、会につきましては、いつもながら井戸さんに大変お世話になっております。出席者ならびに新メンバーのご紹介を、井戸さんの方からお願します。


 井戸(お世話役)


 こんにちは。お世話役の1人、井戸でございます。袋詰め資料の一番上にこの総会の資料を入れております。座ってご説明さまず、本日のご出席者ですが、交流会も含め、資料2・P3Pのようになっております。お一方ずつご紹介すべき所ですが、時間の都合もありますので、役員とご来賓の皆様を中心にご紹介させて戴きたいと思います。

 門川会長のお隣が会の顧問、前ユネスコ事務局長の松浦様でございます。
 次に、そのお隣が副会長の小城斑鳩町長でございます。
 その左におられますのが、幹事の平泉町の菅原町長。
 同じく幹事の白川村、成原村長。
 そして最前列にいらっしゃるのが、廿日市市の堀野副市長、大田市の大國教育長でございます。

 門川会長の向かって右側に参りまして、今回からご参加のお三方、山梨県富士吉田市の堀内市長。
 静岡県富士宮市の須藤市長。裾野市の大橋市長は少し遅れてらっしゃるようです。

 続きまして、民間幹事のご紹介に参ります。
 全国街道交流会議の藤本さん、NPOグローバルキャンパスの大社さん、そしてすみません、名簿には出てないんですが、工学院大学の後藤さんです。

 そして、3P下、ご来賓の皆様です。
 舞台上、一番右にいらっしゃるのが、国土交通省・技監の足立様。
 前から2列間にいらっしゃるのが、同じく国交省、景観・歴史文化環境整備室長の後藤様。
 なお文化庁・世界遺産室長の小林様は急きょご欠席ということになっております。

 次に資料4Pをお開き下さい。新たに会にご参画いただくことになりました市町村は、先ほどご紹介した3市に加え、山梨県の富士河口湖町・身延町・山中湖村、静岡県の御殿場市・富士市・小山町、そして沖縄県の南城市・読谷村の、計11市町村でございます。
 沖縄から2つの市村が入られましたので、この会は広域指定の紀伊山地と富士山を除いて、全ての市町村が参加する会、ということになっております。

 続いて民間メンバーです。今日ご出席の2名の方をご紹介させて戴きます。
 沖縄からお越し戴きました、緒方さん。
 そして世界遺産クラブ代表の小六さんです。

 なお、8月14日時点でのメンバーリストを資料16・17Pに掲載させて戴いておりますので、ご参照下さい。ご紹介の方は以上です。


 門川会長(京都市長)

井戸さん有難うございます。それではご来賓を代表いたしまして、まず国交省の足立技監に一言戴きたいと思います。


 足立技監(国交省)


 国土交通省で技監をしている足立でございます。今日は井戸さんにお声がけ戴いて、井戸さんの命により参加させて戴きました。よろしくお願いいたします。
 世界遺産との関わりについては紀伊山地が登録された時に近畿地方整備局で企画部長をしておりまして、3県の方々といくつかの取組した記憶があります。またつい最近は中部の局長をしておりまして、その時には白川村さんに大変お世話になりました。そういった意味では世界遺産の場所が抱える色んな課題についても、色々皆様からのお話を伺い勉強してきているつもりでございます。
 そういった中で、皆様こうやって連携をして取り組んでらっしゃるということをお聞きし、非常に心強く思いましたし、エールを送りたいと思いやって参りました。
 国土交通省、観光庁も含めまして全力を挙げて皆様のために頑張っていきますので、よろしくおつきあいをお願いしたいと思います。
 今日はこれから少し中座させて戴きまして、その後、また夕方の交流会にまた顔を出させていただきます。よろしくお願いいたします。


 門川会長(京都市長)


 足立さん、お忙しい中有難うございます。次に、富士山ご関係の各市からお一言ずつ、自己紹介等お願いできればと思います。


 堀内市長(富士吉田市)

 皆様こんにちは。この度、世界遺産の仲間入りをさせて戴きました富士山のおひざ元、富士吉田市長の堀内と申します。皆様に様々なご支持を戴いた中、登録をされた訳ですけれども、実は20年前から自然遺産としての登録を目指してきたという経緯がありまして、そういった意味では20年たってやっとここまで来たという心境でございます。しかしその一方では、なったはいいが、これからの保全の問題等を考えますと頭が痛いというのも正直な所です。
 そうした中、大先輩方の仲間入りをさせて戴き、各地域が連携した中で様々な方策を共有できる機会を得られたこと、大変うれしく思っております。 


 須藤市長(富士宮市)

 こんにちは。富士宮市長の須藤と申します。静岡県側で最も多い6箇所の構成資産がありまして、これからの責任を感じております。まだまだこれから整備していかなければいけないことが一杯あるものですから、その時代に遭遇した首長としてしっかりと責任を果たしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。


 西ケ谷(静岡市東京事務所長)

 静岡市の東京事務所長をしております、西ヶ谷です。今日は田辺市長が出席できず申し訳ありません。また入会についてもまだ検討中ということで、もう暫くすればお仲間に加えて戴く方向になるのだろうと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
 各国からのご支援も得て、三保の松原が登録されたということで、地元も活気づいております。保全については県のレベル、市のレベルなどでいくつかの組織が立ち上がっています。全力を尽くし、皆様に認めてもらえるよう努力して参ります。


 門川会長(京都市長)

 有難うございました。ともに頑張って行きたいと思います。それでは議事に入らせて戴きます。議案1「幹事就任について」のご説明を井戸さん、お願いします。


 井戸(お世話役)

 規約により、各市町村長と民間人若干名に幹事になって戴くことになっております。4P下に記載の新入会された11の市町村長様に幹事就任をお願いしたく存じます。


 (拍手)



 門川会長(京都市長)

 引き続き議案2・3「平成24年度活動報告、決算報告」についても、井戸さんの方から。


 井戸(お世話役)

 議案2・3でございますが、資料の方は5Pから9Pでございます。
 まず5P。発足2年目の4つのテーマは「国への提案活動開始」「ユネスコ世界遺産条約40周年事業への協力」「地域・官民共同事業の実施」「連携・交流の促進」ということでございました。

 第1に「国への提案活動」については昨年7月に1回目を、そして本日2回目をおこなっております。袋詰めの中に本日の要望資料を入れておりますので、ご参照下さい。

 第2に「ユネスコ条約40周年」に関しましては5P下側から6Pに参りまして、まず会議参加者への情報提供や記念品の提供をいたしました。記念品はメンバーの世界遺産写真家・富井さんが作られた2013年の卓上カレンダーです。
 次に括弧の2と3ですが、京都での最終会合に併せ、関西空港や駅でパネル展や映像による歓迎広告をおこないました。歓迎広告の様子が7P真ん中に出ておりますが、メンバーのJR西日本・井上さんに大変お世話になりまして、京都駅・大阪駅・新大阪駅・天王寺駅・三宮駅の59のスクリーンをお借りして実施しております。

 続いて第3に7P下側、地域・官民連携事業では、観光ゴミ持ち帰り用のステッカーを各地でご活用戴いているほか、研究分野として、先ほどの緒方さんのご尽力で、沖縄における内閣府調査に参加させて戴いております。
 8Pに行きまして「情報発信」の分野では11言語のHPや、各地域が海外イベントなどを実施される際に、できるだけ会のパンフレットをご持参戴き、他地域のPRもおこなおうといった事業を実施しています。あわせて、今日お越しの元JNTO澤田さん・谷さん、あるいは京都市おもてなし課のご協力も戴きまして、12地区のパネルをここにあります海外8つの拠点に配り、ご活用戴くといった事業も始めております。
 加えまして、8Pの下側、一昨年大きな台風被害がありました紀伊山地の各地と一緒に、メディア関係のメンバーの皆様を訪問し、それぞれに情報発信戴くといったことをやっております。

 最後に「連携・交流」に関することが9Pです。調査や未加入地域の入会促進のため、昨年度は25の地域を回らせて戴きました。また総会をはじめ各地での交流会、沖縄・今帰仁の山内さんに管理人をお願いしているメーリングリストを通しての日常的な情報交換などを継続しております。

 1年間の総括としては会全体がだいぶこなれた感じになってきたのかな、またそれなりに色々な事業ができるようになってきているのかな、という気がしております。
 
 続きまして議案3の平成24年度決算報告に参ります。資料は10P・11Pです。
 と言いましても残念ながら大した話ではありませんで、収入は交流会費と立替金。支出の方はほとんどの部分をメンバーの所属団体や調査研究関連業務の一環で処理しておりまして、会の会計に直接関係いたしましたのは、それぞれ43万711円でございました。
 支出面では要望活動費が6万円弱、総会や交流会費が計26万円強、旅費交通費が8万円弱などとなっております。

 また次のページには、会としての応募要件を満たしていなかった関係で、歴史街道推進協議会が受託した国交省からの調査の中に、一昨年度に引き続き世界遺産を紛れ込ませる(笑)という形で実施した分を記載しております。ユネスコ世界遺産条約会議関係で計100万円強、交通費が約30万円、パネルの製作や世界各地への配送に50万円強、紀伊山地とのメディア訪問に13万円弱、以外にはパンフレット増刷に32万円弱ということで、合計が232万6998円となっております。

 数字のご説明は以上でございます。昨年も同じことを申し上げましたが、資金はなくてもこの程度の事業ならできるといった意味では、会の持続性は「はからずも」保障されております(笑)。なお今日、監事の寺田さんがどうしてもお越しになれないということですが、きちんと監査の方も戴いておりますのでご安心下さい。議案2・3のご説明は以上です。


 門川会長(京都市長)

 ご質問はありませんか?
 昨年はユネスコ条約40周年を日本がお出迎えするということで、そういった意味でもこの会が結成されていてよかったなという気がしております。また世界遺産に関する色々な議論も喚起できたのではないかと思います。では拍手をもって議案の2・3、ご承認いただけますか?

 (拍手)

 では、ご承認戴いた上で、これは会長としての意見なんですが、1つご提案をさせていただきます。この会は現時点では会費のようなものは取っておりません。井戸さんを始め会員メンバーの方々のボランティアでもって運営されている訳です。ゆるやかな連携ということは結構なんですが、やはり関係者が任意であっても、応分の負担をしないといけないのではないか。これは今ここで議論していては切りがありませんから、例えば一口1万円で何口かお願いするとかについて、幹事の皆様とも相談し、できれば次回にはそういったお話もさせて戴ければと思っていますので、何卒よろしくお願いします。
 では井戸さんの方から引き続き議案の4につき、ご説明お願いできますか?


 井戸(お世話役)

 議案の4でございますけれども、「ブレストのネタを振る」といった感じで受け取って戴ければと思います。

 今後の活動方向性につき、まず「連携・交流の促進」の面では、12P1の(3)でございますけど、現状の事業を地道に継続して行きつつ、どうやったらもっと様々な事業がスムーズに実現できるような組織になるのかを考えながら、その充実を図っていく必要があると思っております。
 Bに書きましたように、例えば各地の語り部組織どうし、宿泊施設どうし、また商工会議所間やJCなど色々な団体がある訳ですけれども、そういったものがいくつか集まって共同事業をするとか、色んな横の繋がりの可能性を意識しながら、組織を充実させていく必要があると思っております。
 また、先ほど会長から有難いお話がありましたけれども、せっかくここまで来た組織をどうしたら持続的に発展させて行けるのかについての、意見やアイデアの交換が必要な時期であるということも思っております。

 次に、ではどんなことをやって行くのかについて書いたのが12Pの下側、「地域・官民連携事業のさらなる活性化を!」という所なんですが、まず(1)、各世界遺産地域が共同でコトを起こすことによって、日本全体に一定のインパクトを与えることができるような事業、そういった事業分野は何も観光ゴミの持ち帰り運動以外にも色々あるのではないかと思います。他にどんなものがあるのか、皆さん是非考えて戴きたいと思います。
 (2)の研究分野では「世界遺産特別法」はもちろんですけれども、Aの世界遺産を活用したインバウンド推進、特に欧米ですね、そういったことを大きなテーマにできるかも知れないなということを考えております。今日使いました要望冊子の4P・参考資料1をご参照下さい。
 (3)情報発信のB.地域×民間のコラボという点ではこの8月に非常にいい事業が実現しております。メンバーの野々村さんのご提案で実現した京都での世界文化遺産地図展です。13Pにその様子をご紹介しておりまして、後ほど野々村さんからもコメント戴きたいと思いますが、共同の情報発信という面で非常にいい事業ができたなということで、今後もこういった事業がどんどん実現して行けばいいなあと思っております。

 続いて14P上の表でございますが、今年、法隆寺と姫路城が20周年ということなんですが、よくよく考えると13地域ある訳でして、5年刻みで行きますと、必ずどこかの地域が何周年ということになって参ります。
 こういった記念の年をお互いにできるだけ協力しあって盛り上げていくようなことを考えていくべきではないかと思います。
 例えばこの総会も毎年東京でやっておりますけれども、絶対に東京でなければ駄目だということでもございませんので、例えばシンポジウムなど共通で情報発信できるイベントを併設できる地域があれば、そういった場所を総会開催地にしてみんなそこに集まる、といったことも考えて行ってもいいんじゃないかという気がいたします。

 最後に14P後半から15Pにかけて、国への提案活動ですが、本日2回目を実施しました。訪問先は14P下のような方々です。世界遺産特別法やインバウンド推進に加え、世界遺産をお持ちの各地が抱えておられる様々な問題につき要望冊子の2Pから4Pにかけて一覧表を載せています。
 そんな中で、今後の提案活動のカウンターパートナーとして、世界遺産議員連盟が今年から超党派になりました。15Pは現時点のメンバーの先生方でございます。こうした所との連携をうまく取っていきながら、時間はかかるかも知れませんが、世界遺産特別法などの実現に向け努力したいと考えています。

 以上、ここに示しましたのはあくまでタタキ台のようなものでございますので、ここからの時間で是非、皆様からのご意見やアイデアを頂戴したいと思います。ご説明は以上です。

 

門川会長(京都市長)

 有難うございます。国への提案活動については今日、副会長や各地の首長さん方とともに、政治家の先生方や各省庁を回り、世界遺産に関する予算確保や世界遺産特別法、また世界遺産と新幹線の組み合わせによるインバウンドに国として取り組んで欲しい、といったことをご提案してきました。世界遺産議連については民主党中心でしたが昨年「超党派で」というご提案をし、今年からその方向が取られるようになったということでございます。
 議案4に関するご意見はここからの情報交換、意見交換の場で色々なことを出して戴きたいと思います。

 まず、裾野市長さんお越しになりました。歓迎いたします。よろしければお一言お願いいたします。


 大橋市長(裾野市)

 大変遅れて申し訳ございません。静岡県裾野市です。
 「世界文化遺産」連携会議の活動がさらに充実・発展し、世界遺産間の連携がさらに進んでいくことを期待しています。


 門川会長(京都市長)

 有難うございます。ではまず、ご参加の各地・ご来賓からお一言ずつ情報提供やご意見をいただければと思います。小城副会長、まず口火を切っていただけますか?


 小城副会長(斑鳩町長)

 僭越です。法隆寺は今年が登録20周年なんですが、富士山も20年前から自然遺産でというお話があり、ようやく今年文化遺産登録が成ったということです。
 この間を簡単に振り返って見ると、まず日本が世界遺産条約を批准するのが大変遅かった。先ほども文化庁の部長と話しましたが、果たしてこの先どれだけ登録されていくのか。また京都や奈良ではどこまでの寺社が世界遺産なのかという問題もありました。バッファゾーンの問題等もあって、奈良では西大寺や大安寺が登録されなかったりもしています。

 こうした会についてもその当時に一度作られました。斑鳩でもやりましたし、広島でもやった。しかし、ある都市の持ち回りとなった時にやるやらないで断ち切れになってしまったという経緯があります。
 先ほど門川さんから会費のお話があり、歴史街道の井戸さんにも申し上げてきたことなんですが、ボランティア精神だけに頼っていてはこうした活動を持続させるのは困難です。国に何かを要望していくには、やはり市町村がいくらかでも会費を出さないと。お金がないというのは嘘で、それをどう使うかという問題です。

 世界遺産というのはなった時は観光客とかもすごいんですが、月日が経てばだんだんとインパクトが薄れていきます。そんな中、周年事業にからめて来年は京都で総会をという話が出ていますが、今回も斑鳩と姫路で色々な共同の催しをします。来られる方あれば是非お越し下さい。


 門川会長(京都市長)

 小城副会長は本当、歴史の証人のような方です。有難うございます。
 次に菅原町長。要望活動の感想など含めてどうぞ。


 菅原町長(平泉町)

 先ほどの要望活動でも申し上げたんですが、被災地である東北では平泉が世界遺産指定され、そこに注目が集まり、観光客がやって来ることに対する大きな期待があります。しかし、東北については風評被害もあり、観光客がまだ戻ってきていません。要望活動では国に対しても「大丈夫だよ」ということを引き続き発信して欲しいと申し上げましたが、今日お集まりの民間の方々にも是非、そのような情報発信面でのご協力を強くお願いしたいと思います。言いたいことは山ほどありますが、それはまた後の交流会で(笑)。どうぞよろしくお願いいたします。


 門川会長(京都市長)

 被災地をボランティアで訪れるのもいいですが、観光で訪れるのも立派な貢献ですね。
 次に廿日市市の堀野副市長どうぞ。


 堀野副市長(廿日市市)

 宮島への観光客については、昨年は大河ドラマの影響があり大変好調でした。これをどう維持していくのかが大きな課題ですが、幸いなことに今年についても概ね横這いで推移しております。世界遺産の活用、また全体としてのその保全には防災含め多くの課題を抱えていますが、いずれにしてもこの会を通し各地と連携していく中で、その解決に取り組んでいきたいと思います。

 門川会長(京都市長)

 白川村の成原村長、初参加のご感想も含めていかがですか?(以下の方への指名台詞省略)

成原村長(白川村)

 要望活動ふくめ、この会には初めて参加させて戴きました。大変重要な会だなというのが実感です。
 白川村は岐阜県で2つしかない村の1つで、人口1725人。道州制の議論や平成の市町村合併がある中、地域固有の歴史・文化を何としても守る、またその心を維持するためには基本となる自治体は小さければ小さい方がよいという理念を持っています。合掌づくりを保存・活用するために、ハード面では文化庁などの支援が必要ですが、ソフト面で最も重要なのはその「心」の部分をどう引き継いで行くかです。世界遺産指定された一世代目、それを受け継ぐ二世代目までは大丈夫としても、恩恵だけ受けてきた第「三世代目以降の人々にどうやってその「心」の部分まで引き継いでもらうかが、とても大きな課題です。


 後藤(国交省景観・歴史文化環境室長)

 このような貴重な場にお招きいただき感謝いたします。景観法や歴史まちづくり法を所管しており、世界遺産の関係では京都や、今回非常に残念だった鎌倉などに大変お世話になっています。文化庁や観光庁ともしっかり連絡を取ながら、皆様方のお力になれるように頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。


 大國(大田市教育長)

 石見銀山では7月末に大雨が降り「世界遺産が水没した」という報道がありましたが、鉱山の坑道は雨が降れば水が入りますので別に心配はございません(笑)。紀伊半島でも同じような課題を抱えておられると思いますが、世界遺産の保全という面ではやはり災害に備える。そして備えた上で来訪者をお迎えするという視点が1つ目の大きな課題だと思います。もう1つ、石見銀山はアジアで唯一の鉱山の世界遺産です。またそこに人が住む世界遺産でもあり、小さな世界遺産のアジアにおけるモデルになりたいという意識を持って、5年前からベトナムのホイアンと交流しています。そういった意味ではアジアとの交流というのが大きなテーマに、これからなっていくんじゃないかなと思っております。


 松本(姫路市観光交流室長)

 姫路市です。本日は観光と姫路城修復担当の理事が出席する予定でしたが、やむを得ず代理で失礼いたします。姫路城では、大天守閣の平成の修理の様子を間近に見学できる「天空の白鷺」という事業を来年1月15日までやっております。その後、天守閣の素屋根の解体作業が始まります。そして、平成27年3月にリニューアルされた姫路城が現れるというタイムスケジュールになっております。登録20周年記念事業につきましては、斑鳩町さんとも連携しながら、色々なイベントを予定しています。また来年の大河ドラマが「軍師官兵衛」に決まり、主人公である黒田官兵衛の生誕の地・姫路では1月12日からは大河ドラマ館がオープン、また姫路城の中でも櫓の1つを官兵衛の歴史館として展示をおこなうなど、官兵衛の魅力、姫路の魅力を全国に発信していきます。皆様ぜひ姫路にも足をお運び下さい。


 長南(日光市観光振興課長)

 世界遺産登録がどうしても西日本中心だった中、平泉や富士山の登録はとても嬉しく思います。しかし登録から時間がたってくる中、修学旅行生や住民から「世界遺産になって何が変わったの?」と聞かれると、その説明にはとても難しいものがあったりもいたします。先ほど富士山の登録に20年かかったというお話がありましたが、せっかく連携するなら個々の活動の一方で、会として世界遺産の価値をより高めていくような活動ができればいいと思います。会として世界遺産というのはそれほど稀少でハードルが高いものなのだということをもっと全国的にアナウンスしていくことが必要ではないでしょうか。
 地元情報としては、平泉さんも言われた原発事故以降の風評被害。観光客は徐々に回復してきてはいますが、まだ戻ったといえる水準ではありません。東照宮関係では2016年が徳川家康公没後400年を迎えることになっているので、そうしたこともきっかけにしたいと思っています。


 古田(広島市東京事務所主幹)

 原爆ドームは耐震性の確保が最大の課題です。そのため今年の5月から7月にかけ壁の強度や過去の補修材の状況等につき調査を実施しました。その結果をもとに構造解析をおこない、地震対策が必要であれば、複数の対策を打っていこうということになっています。


 賀数(沖縄県東京事務所)

 「琉球王朝のグスク及び関連資産群」につき昨年度、包括管理計画を策定しました。本年度からはそれに基づく事業を始めております。また、関係市村が広域に及んでいるものですから、定期的な情報交換会を実施しています。


 安藤(東紀州地域振興公社事務局長)

 紀伊山地の霊場と参詣道の三重県側の5市町から構成される広域組織です。一昨年夏の水害で大きな被害を受けましたが、先ほど紹介があったメディア訪問含め、色々な方々の支援を受けましてようやく回復してきたのかなという状況です。来年が登録から10周年ということなんですが、エリアが広く、道筋が長い中、保存会の方々の高齢化など含めた多くの問題を抱えています。この会からもアドバイス戴きながら、熊野古道の保全・活用に取り組んで参ります。



 門川会長(京都市長)

 有難うございました。この会には行政関係者だけでなく、民間からも多くの方々に参加ご協力戴いてます。活動報告でも「これからこんなことしたらどうだ?」といったご提案でも構いません。
 どなたからでも結構です・・・考え中ですか?(笑) 
 では野々村さん、いかがでしょう?

 地図展、感動いたしました。去年のこの会でお会いしたのが素晴らしいきっかけになりました。

 野々村(日本地図センター)

 日本地図センター野々村です。地図というのは地域の特性を伝えるためのものです。また、文化遺産というのもはそうした地域の特性に根差して成立し、今に伝えられてきているのだと思います。去年の交流会で門川会長とそんな話で盛り上がりまして、早速企画を始めました。
 この8月5日から京都で国際地理学会があり、世界から1500人くらいの方々がお越しになることになっておりましたので、その関連事業として京都でやりたい、と考えた訳ですが、7月27日から8月5日まで、京都駅地下街のポルタという場所をお借りして実施できした。東京で言えば新宿の地下街のような場所で、その時期にそうした場所でできたのは門川さんの強力なバックアップがあったからです。展示をじっくり見学されていたのは1日2−3千人でしょうか? イベントで差し上げた伊能忠敬が作った京都と富士山の地図、チラシなどもお持ちしましたのでご笑覧下さい。また今日はお越しでないですが、1年前のこの会でお会いした京都新聞・齋藤相談役にも大変お世話になりました。今後ともこんな催しをやってみたいという地域がありましたら、どうぞお問い合わせください。

門川会長(京都市長)

 京都にいながら、東北から沖縄まで、日本中の世界文化遺産を楽しめる、大変素晴らしい催しでした。この会を通しての出会いが、こうした素晴らしい事業につながったことに私も感謝しております。
 他にどなたかございませんか・・・民間幹事を代表して藤本さん、何かご意見ありませんか?


 藤本(全国街道交流会議)

 全国の街道をテーマに活動しています。今日お越しの各地域にも私どもの会議のメンバー地域が多数おられますが、街道は地域と地域を繋ぐものです。地域おこしをする際に街道をその入口にする、また街道を通して地域どうしで連携するといったことも目指しています。
 しかし、会議をすると多くの地域の悩みは「(観光客を呼び込めるような)資源がない」ということ。その点ではここにお集まりの各地域には世界に誇れる資源をお持ちの所ばかりです。
 この会のキーワードはそうした資源を「保全」「活用」するということでしょうが、そこにもう1つ「連携」すれば何ができるかということをより強く意識されると、色々新たな展開が出てくるのではないか、と思いながら聞いておりました。


 門川会長(京都市長)

 有難うございます。他にどなたかご意見ありませんか?
 メディアを代表し共同通信・吉永さん、いかがですか?


 吉永(共同通信)

 メディアを代表する立場にはないんですが(笑)・・・富士山も登録されて、世界遺産という言葉自体が益々多くの方に意識されるようになったのはよかったと思います。ただ、我々メディアはどうしても登録の前後にスポットを当てがちですけれども、実際の正念場は登録の後です。それぞれの地域でどんな風に遺産を守り、伝えようとされているのか、またそれを活かしてどのような特色ある地域を作って行こうとされているのかについて、注目していきたいと思います。
 各地にお邪魔することもあると思いますが、皆様側からも色々情報を発信して下さい。


 須藤市長(富士宮市)

 1つよろしいか? ちょっと困っていることがあります。富士山周辺ではこれから、メガ・ソーラをどうするかが大きな問題になって来ると思っています。色んな問い合わせがどんどん来ます。これを何とかしていかないことには、富士山の景観が駄目になってくる訳ですが、抑止する法律がどこにもありません。各省庁に要望していますが、今の所埒が開かない状態にあります。富士山や静岡に限った話ではなく、全国の世界遺産地域にも関係する話だと思いますので、世界遺産特別法の中にこういった問題も取り上げてもらい、会を通しての要望を行ってもらいたいと思います。


 門川会長(京都市長)

 様々な課題があると思います。何を要望するかについては勉強会や議員連盟との情報交換をしながら、決めていくということになりますが、一般論として言えば、条例で何とかできないんでしょうか?
 例えば京都では市内全域から屋上のサインを全部見直すという条例を作りました。実は7割が不適で28000の看板を来年までに全て降ろしてもらう、形を変えてもらう、小さくしてもらうという作業を、100人体制で進めています。そんな意味では来年8月以降は看板のない京都に是非どうぞ・・・ということなんですが(笑)、まず自治体や市民ぐるみでできることは条例等含め全部やる。でもって、国家戦略的に取り組んでもらわなければできないことについてはしっかりと要望していくというのが基本ではないかと思います。

 だいぶ時間も残り少なくなっておりますので、最後に松浦顧問に、そういったことも含め、締めのアドバイスを戴ければと思います。

 

松浦顧問(前ユネスコ事務局長)

各世界遺産地域の皆様、また「世界文化遺産」地域連携会議のご活動に心からの敬意を表します。世界遺産を持つ各地域の現状、また抱えておられる問題などについてもお聞きでき、大変有難く思いました。

 昨今の情勢について少しお話ししますと、保全に重点を置くというお話の中、最も話題になっているのは景観に関することです。イコモスが日本に関しよく言うのは電柱や広告のこと。富士山の一方で鎌倉が残念な結果になりましたが、鎌倉には武家の古都としての遺構があまり残っていないということに加え、問題となったのはやはり景観でした。
 眺望景観といった問題も出てきています。私は東京の下町、荒川区の25階に住んでおり、そこからは富士山が見えますが、23区から富士山が見える場所はだんだん少なくなって来ているようです。
 なかなか難しいことなんですが、こうした眺望権をどうするのかという問題も出てきています。

 世界遺産委員会は、すべての世界遺産についてその「顕著な普遍的な価値」がしっかり保全されているかどうかを定期的にチェックすることになっています。関係地域社会がこれらの遺産の「顕著な普遍的な価値」を保全していく義務を負っており、富士山も同様です。3年後に改めて富士山全体の保全計画を提出し、それに基づいてユネスコ側が保全状況を審査することになっているので、是非これにしっかり答えてもらいたいと思っています。

 また、昨年11月には京都でユネスコ条約40周年記念行事が開催されました。
 その際の「京都ビジョン」、皆様にもその要約が配られていますが、是非全文を読んで見て下さい。
 世界遺産になった資産の「顕著な普遍的な価値」をしっかり保全していく為に、そこで強調されているのは、関係地域社会が演ずる役割の重要性です。

 候補案件が世界遺産に登録されるとそれで最終目的が達成されたと思われがちですが、決してそうではありません。
 
様々な問題について条例など、他地域のいい例を参考にした中で対策を考えていくことなども含め、様々な面で、この会が益々活発に活動されるようになることを期待しています。
 有難うございました。


 門川会長(京都市長)

 世界遺産に関する色々なルールを作って来られた方をもってしても、なかなか難しい課題が一杯あるということでございますが、自治体でやるべきことはやる、同じような問題を抱える各地域の成功事例もできるだけ参考にする、そしてその上で国に対しても国家戦略としての世界遺産の保全・活用を提案していく。そういったことが基本ではないかと思います。松浦顧問、有難うございました。

 議案4、色々な議論がありましたのであえてまとめはいたしませんが、こういった方向でご承認戴いてよろしいでしょうか?


 (拍手)


 それでは大多数の方が交流会にも残って戴けるということでもございますので、この続きは場所を移してということにさせて戴きたいと思います。
 これにて平成25年度「世界文化遺産」地域連携会議総会を終わらせて戴きます。有難うございました。


 (拍手)


 島川(お世話役)

 有難うございました。門川会長からもありましたが、引き続き交流会を開催させて戴きます。場所はここから徒歩3分の「霞が関ナレッジアウクエア・エキスパート倶楽部」です。総会資料の裏表紙の地図をご参照ください。本日はどうも有難うございました。



※交流会の様子:進行は北海道大学・花岡氏(お世話役)





「世界文化遺産」地域連携会議 設立趣意書                  
役員 規約                 
メンバー     活動                 


 TOP