「世界文化遺産」地域連携会議 設立趣意書                  
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省庁、政府首脳への提案活動(2012年7月5日:市町村長会)


 要望者:門川京都市長(会長)、仲川奈良市長(副会長)、越大津市長、田中南砺市長、菅原平泉町長ほか

時間

訪問先・行事

場所

13:30-13:40

前原誠司様(民主党政調会長)

衆議院第一議員会館809

14:00-14:10

河村建夫様(史跡保全議連代表世話人)

衆議院第二議員会館302

14:30-14:40

石井 一様(世界遺産議連会長)

参議員議員会館     813

15:00-15:10

井手憲文様(観光庁長官

観光庁長官室

15:30-15:40

河村潤子様(文化庁次長)

文化庁次長室

15:50-16:10

文部科学記者会・会見

文部科学省

 

 

  





 (資料)

世界文化遺産の永続的保全と

その持続的活用を目指して

 

 

            2012年7月

    「世界文化遺産」地域連携会議 

 




 人類共通の資産でもある「世界遺産」を大切に後世に伝えていくことは、関連する地域・管理者はもとより、国における重要な責務でもあります。

加えて、世界遺産とその周辺景観等を合わせ保全整備することは、外国人観光客の誘致にもつながり、地域の経済や雇用の振興、また豊かな国土づくりを進めて行くためのモデルとしても、きわめて有効な政策です。

 

2011年6月、わが国の「世界文化遺産」に関連する地域(12地区23市町村長)や、それに関わってきた専門家・地域リーダー約100名が集い「世界文化遺産」地域連携会議が発足いたしました。

 

世界遺産に登録された各地域はさまざまな問題を抱えつつ、現在に至っております。

1 世界文化遺産継承のためには、十分な防災措置や文化財予算の確保が不可欠です。また、農山漁村部の世界遺産地域に対する、きめ細やかな支援策づくりについてもご検討願います。

2 東日本大震災、原発事故からの訪日イメージ回復に向け、世界遺産や新幹線網などを活用した、積極的な外客誘致策が必要です。 

3 世界遺産を活かした外客誘致、また遺産周辺の地域・景観づくりに際し、各省庁の垣根を越えた協力体制構築を望みます。

 

本年11月には、ユネスコ世界遺産条約採択40周年記念最終会合が日本・京都市において開催されます。また、来年は「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」がわが国初の世界遺産となって20年の節目です。

こうした記念すべき時期に当たり、各地域におけるさらなる努力をお誓い申し上げるとともに、これらの問題の包括的解決を目指した「世界遺産特別法」の研究など、さらなる支援策の充実をお願い申し上げます。

 

                         2012年7月

「世界文化遺産」地域連携会議

会長 門川大作(京都市長)

                            

<各遺産地別の現況と要望>

姫路城

・世界遺産プロパティ(特別史跡指定地)における文化財保護法に基づく現状変更の禁止と私人の生活や経済活動とのバランスをどう取るか、姫路駅再開発とバッファーゾーンの歴史的景観誘導のバランスをいかに取るか、保存管理の体制について、統一的にコントロールする所管がないことが大きな問題となっています。

・09年から5年計画で大規模改修に入っています。工事現場をエレベーターで見学して伝統的技法を見ていただくなど、見学者の維持に取り組んでいます。また、姫路城の周辺地域には特別史跡が108ヘクタールあり、城を活用した景観誘導を進めようとしています。世界遺産にふさわしい文化財の新たな活用方法について、モデルケースとなるような新たな手法づくりが必要です。

法隆寺地域の仏教建造物

・法隆寺への参拝客をどう地域経済に結びつけていくのか。農業など含め、世界遺産をどう地域に活かし、雇用確保などに繋げていくかという点が最大の課題です。

 古都京都の文化財


平成6年に世界遺産に登録された「古都京都の文化財」以外にも,これらに匹敵する価値を有する文化遺産が多数存在するため,その追加登録が大きな課題となっています。

・木造家屋が多く、同時多発的火災からの延焼危険性が高いことから、東山地区における「水のカーテン」整備などをおこなっています。「世界遺産を1000年先にまで伝える」ためにどう最善を尽くすか。管理者や地元自治体だけでなく、国にも真剣に考えていただきたいと思います。

白川郷・五箇山の合掌造り集落

・国庫補助として茅葺き屋根の葺き替えを文化庁の補助を得、継続的に行っていますが、それらに該当しない景観修繕など小規模事業のほとんどが地元の役割となっています。建物や土地などの指定文化財への補助はあるものの、例えば保全に不可欠な茅場の整備なども補助の対象外です。

・世界遺産に関わる国の補助事業メニューの充実を求めます。

原爆ドーム

・耐震性の確保が最大の課題となっています。

厳島神社

・世界に類のない海中に建つ社殿建築であり、防災上の大きな問題を抱えています。また、建造物群の保存修正にも相当額の事業費負担が生じており、国庫補助の加算措置などの支援をお願いします。

・地方圏を越えた外客誘致への積極的なお取り組みをお願いいたします(例:世界文化遺産のうち8箇所は中国・近畿。以外に東京+日光+平泉、近畿+白川郷・五箇山、中国+九州、中国+四国等)。

 古都奈良の文化財

・国内外を問わず、日本の世界文化遺産巡りを促すような統一的な観光キャンペーンを展開し、それに対する補助金等の支援を要望したいと思います。

・世界遺産の近くには「ならまち」と呼ばれる歴史的景観を残す町並みがあります。市も町家の保存活動を進めてはいますが、やはり住民にとっても改修費等の問題もあり、プレハブ住宅・駐車場化が進み、古都奈良の風情は失われていっています。市民により積極的に学習機会の提供を行うなどして、「世界遺産のあるまち」という地域に対する誇りを持ってもらい、自然にその町並みを受け継ごうと思えるような仕組みを作っていければと考えていますが、なかなか思うに任せない状況があります。

日光の社寺

・原発事故の風評被害をどう克服していくかが最大の課題です。

・史跡の整備・活用計画の策定、世界遺産ガイダンス施設の設置、観光シーズンにおける渋滞対策といった課題もあります。法令が多岐にわたり、関係省庁との連絡調整が困難なことが大きな問題です。

琉球王朝のグスク及び関連遺産群

・国営公園として整備されている首里城と、それ以外のグスクなどにおける事業に著しい格差があります。緩衝地帯での便益施設などへの補助制度の創設、グスクを遠目から見るためのビューポイントの整備、コア内のバリアフリー化、国営公園内における島内の世界遺産案内充実などが課題です。

 紀伊山地の霊場と参詣道

・11年夏の台風被害からの回復途上にあり、建造物周辺や古道の修復、アクセス道路等含めた、1日も早い完全復旧が望まれます。

・各省庁それぞれに支援戴いていますが、それらをうまくパッケージにし、世界遺産という横串で刺した、きめ細かな支援策ができればと願っています。例えば、コアゾーンの土地の買上げや修理整備に国庫補助が設けられていますが、補助の対象は200万円以上の事業です。古道の修繕としては石畳の破損や土砂の崩落、倒木などの小規模な破損が多いため、200万円以下の事業がほとんどです。また、古道の両側約50メートルをバッファーゾーンとしており、関係市町村の景観条例などで保護されていますが、国庫補助の対象にはなっていません。

 石見銀山遺跡とその歴史的景観

・多くの箇所で地盤が緩い傾向にあり、崩落・落石の危険性が指摘されています。「予防治山事業」「林地荒廃防止事業」「急傾斜地対策事業」「町並み環境整備事業」「史跡等保存整備事業」で対応していますが、採択されない事業があり、また補助率や整備水準の不統一が問題になっています。

・銀山遺跡としてはアジアで初めてであり、その価値を明らかにするためにも、外国の鉱山遺跡の状況を調査し、日本の鉱山遺跡との比較研究をして戴きたいと思います。

平泉 ー 仏国土(浄土)を現す建築・庭園及び考古学遺跡群

・観光による東北地方の復興と訪日イメージの回復に、さらに力を入れていただくようお願いしたいと思います。平泉は東北新幹線・一関からすぐの場所にありますが、白川郷も近く延伸予定の金沢から、バスで1時間です。関東・近畿・中国を含めたわが国の世界文化遺産の大部分が新幹線網などで便利に移動できるという利点について、もっと世界に向けたアピールをお願いしたいと思います。

・世界遺産委員会での決議に伴い発生した報告事務や調査研究、計画策定の遂行に対し、国からのさらなる財政的支援を求めます。

 


参考資料1:「世界文化遺産地域連携会議」設立趣意書

わが国が世界遺産条約を批准したのは1992年、また、第1号の世界文化遺産として姫路城と法隆寺が認定を受けたのは1993年のことである。

以降20年近くの間、「顕著な普遍的価値」を持つ文化遺産としては11箇所が登録され、各々の課題を抱えつつもその維持保全や周辺整備、あるいは「持続的な観光」の推進といったテーマに取り組んできた。

 

 しかし、残念なことに、世界文化遺産に関連する各市町村間で遺跡の保全やそれを核としたまちづくり、観光のあり方等について日常的かつ広範に情報交換し、互いに啓発しあっていくような場は十分に設けられてこなかった。

 

世界文化遺産を持つ地域は全国各地に及んでおり、その内容、規模、範囲などにはそれぞれの個性が見られる。

だが、各地域は明らかに共通する、大きな課題を抱えてもいる。

文化遺産の維持保全については、いかに百年千年のスパンでそれを達成していくか。

文化遺産を核としたまちづくりの長期計画を作成し、それをどう形にするか。

観光に関しては、世界文化遺産の魅力をいかに発信するか、また時間の経過にともなう「ブーム」の衰退や観光客増がもたらすマイナス要因をどう捉え、「顕著な価値の普遍性」を次世代に継承していくか、といった点などである。

 

まず必要なのは、各地域が過去おこなった取り組みやこれからのビジョンを披露しあうことを出発点に、相互に応用可能なヒントを探り出していくといった作業であろう。

各関連市町村のトップが一堂に会し、また日常的な交流を始めて行くことの第一の意義は、各方面での理念、ノウハウ、情報などの共有と相互活用にある。

 

 会を発足させる二つ目の意義は、世界文化遺産に対するより広範な支援の獲得である。

 民間セクターとの関係においては、例えばメディアや旅行会社、スポンサーといった協力者に対する共通の窓口を設けておくことにより、支援の輪を大きく拡大していくことが期待される。

一方で、国において世界文化遺産の存在を強く意識し、地元におけるその維持・保全・活用への努力を十分に把握・評価しているのは今の所、文化庁内だけにとどまっている。

いわゆる省庁間の縦割り意識の下、例えば遺産周辺整備などに対する、政界や他省庁における理解・認識はまだまだ不十分なものに過ぎない。

また、世界文化遺産は「観光」の語源となる「国の光」の最たるものとしてすでに国際的認知を得ているが、「観光立国」を旗印とする観光庁においてすら、それらを積極的に評価・支援・活用していく気運は十分とは言えない。

会の結成が目指す第二の点は、各関係地域が共同行動を起こし円滑な外部支援を受ける体制を作るとともに、国等に対して広範な提案をおこなうことによって、やや行き詰まり感を見せ始めている現状を打開・改善していくことにある。

そして第三の意義は「無理のないゆるやかな連携」の中で、地域自らが様々な共同事業を形にし、各地域のさらなる活性化や事業支出の効率化を図っていくことである。

大きな資金負担なしに実現可能な共同・連携事業は多数、考えられる。参加意思をもつ地域間での事業(例えば海外・東京などでのPR活動)、複数地域に共通するニーズを満たすための事業(例えばイベントやゴミ持ち帰り運動)、ある地域が企画する事業(例えばシンポジウムや市民交流)に会や他地域が協力していくことなどである。

わが国の文化・観光を振興し、新しい地域づくりを先導するという面でも、世界文化遺産に関連する地域が主体的に、何らかの共同事業・連携事業に取り組んでいくことの意義は大きい。




 参考資料2:「世界文化遺産」地域連携会議の構成

 

 <会  長>  門川 大作(京都市長)

 

 <副会長>  石見 利勝(姫路市長)

  小城 利重(斑鳩町長)

  斎藤 文夫(日光市長)

  仲川 げん(奈良市長)

  松井 一實(広島市長)

 

 <幹  事>  新垣 邦男(北中城村長)

  翁長 雄志(那覇市長

  北岡  篤(吉野町長)

  久保田 勇(宇治市長)

  小出 隆道(上富田町長)

  越   直美(大津市長)

  島袋 俊夫(うるま市長)

  菅原 正義(平泉町長)

  竹腰 創一(大田市長)

  田中 幹夫(南砺市長)

  寺本 眞一(那智勝浦町長)

  成原  茂(白川村長)

  浜田 京介(中城村長)

  眞野 勝弘(廿日市市長) 

  水本 雄三(白浜町長)

  森本 靖順(天川村長)

  與那嶺幸人(今帰仁村長)

  有川雄二郎(SAP代表)

  大社  充(NPO法人グローバルキャンパス理事長)

  後藤 治(工学院大学教授)

  藤本 貴也(全国街道交流会議代表幹事) 

  宗田 好史(京都府大准教授)

 

 <民間メンバー>学識経験者、地域づくりリーダー、メディア・旅行関係者など約100名

 

参考資料3:イタリア世界遺産特別法について

(翻訳文と自治体実務者勉強会での九大・河野先生による解説の要約)

                2006220日法律第77
             2006310日の官報第58号において公布

「『世界遺産リスト』に登録され、ユネスコの保護対象である、文化、景観、環境の面で重要性を有するイタリアのサイトの保護
および享受に関する
特別対策」

 
※(河野先生の解説)イタリアは1977年に世界遺産条約を批准しており、批准のための法律を1977年法、46日の法律184号というかたちで作っている。この1977年法できちんと対応しなかったところがあり、30年たって手当をしたというのがこの2006年法である。管理計画についてはっきりと国内で体制を整えたというのが法律主旨であろう。

 1(ユネスコイタリアサイトの象徴的価値)

1.『世界遺産リスト』に登録されたイタリアのサイトは、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の加盟諸国が19721116日パリで調印した、世界の文化遺産および環境遺産の保護条約により特定する分類に基づくもので、以後「ユネスコイタリアサイト」と呼称されている。同サイトはその比類なき価値により、イタリアで最も顕著な文化遺産、景観遺産、自然遺産であり、国際的レベルでイタリアを代表するものである。

 ※世界遺産リストに記載されたイタリアの遺産が極めて象徴的な価値を持っているということをうたい上げた規定である。ユニークネス、他に類がない、ポインツ・オブ・エクセレンスという言葉を使い、イタリアの文化遺産、景観遺産、自然遺産の頂点を成すものであるということ、国際的なレプリゼンテーション、国際的な代表性を示すものであり、国内的にも極めて高い評価を置くべきものであるとしている。

 
 2(事業の優先権)

1.ユネスコイタリアサイトの認定範囲に包括される文化遺産、景観遺産、自然遺産は、現行法によって財政援助の対象であると定める場合、保護事業および修復事業の優先権を得る。

※世界遺産条約4条には保護・保存、プレゼンテーション、次世代への継承を図る一般的な義務が加盟国に課せられているが、それに対応する。世界遺産の保護と修復のためのプロジェクトは他の文化的遺産、それから自然遺産に関する類似プロジェクトよりも優先されることが書かれている。


 3(管理計画)

1.ユネスコイタリアサイトを確実に保存し、その価値づけの条件を創り出すために、適切な管理計画を承認する。

2.管理計画では、第4条に定める内容のほか、優先事業およびその実施方法、またこれに必要な公共・民間財源を確保するために実施可能な行動、さらに地域の観光システムや保護地区関連計画に関する規制など、補完的目的を追求する綱領または法規との適切な連携形態について定義する。

3.管理計画の準備策定およびその関連事業を組織的に所轄する公機関との協定は、2004122日の委任立法令第42号に定める形式および方法に準じて締結する。同法令は文化遺産および景観遺産の規約に関するものであり、以下『規約』と称する。


※世界遺産条約の5条に、加盟国は可能な限り、また適当な時には遺産の保護を包括的な計画プログラムに統合すべきという規定があり、その管理計画を作らなければならないというところを、この3条で初めて法的に担保したということになる。

※管理計画1項では、このイタリアの世界遺産サイト、世界遺産の保存、それから価値確保のために適当な管理計画を策定することが書かれている。

※続く2項では具体的な措置、公共事業の優先順位、施行方法、行使の資金獲得のためのアクション、それから地域の観光システムと保護地域の計画を規制するなどの法的ツールとその他のプログラムとの関係を管理計画の中でしっかり定義するように書かれている。

※3項では、管理計画の策定と関連した工事の実現に管轄を有する公的組織間の合意に関し、2004122日付命令42号による様式と方法によると規定されている。 

  4(支援対策)

1.ユネスコイタリアサイトの適合可能な管理、および観光フローと文化的サービス供給との適正な関係を目的として、以下のような事業を規定する。

a)管理計画の策定も含めた、ユネスコイタリアサイト関連の文化、芸術、歴史、環境、学術、技術に関わる特定の問題の調査。
b)文化的支援および公衆のもてなし、ならびに清掃、廃棄物収集、安全管理のサービスに関する準備。
c)サイト周辺地区における、同サイトに有益であるという条件を満たすような休息エリア、移動システムの建設。
d)見学旅行への支援実施も含め、学校機関におけるユネスコイタリアサイトに関する知識普及および価値づけ、学校での文化活動。

2.第1項に示す事業、および本条項に定める公認歳出の限度内における各事業の必要経費の財源額は、環境・領土保全省と合意のうえ、国・州・トレントおよびボルツァーノ自治県の恒久会議を経て、文化財・文化活動省の省令によって決議する。第1項、文字c)に示す事業について、省令は第5条に示す委員会の見解を聴取したうえ採択される。すべての事業は規約に示す規定に適合して実施する。

3.第1項、文字a) c) d)の適用から発生する2006年、2007年、2008年の各年3,500,000ユーロの経費は、経済財政省の2006年度予測状況において資本金となる『特別基金』の基本的予測部門より、2006年‐2008年期三ヵ年予算用の登録交付金から当該金額を減額することで計上する。この目的のために同省の予備費を部分的に使用する。

4.第1項、文字b)の適用から発生する2006年度500,000ユーロ、2007年度と2008年度各300,000ユーロの経費は、経済財政省の2006年度予測状況において経常部分となる『特別基金』の基本的予測部門より、20062008年期三ヵ年予算用の登録交付金から当該金額を減額することで計上する。この目的のために下記を部分的に使用する。

a)2006年度の500,000ユーロについては、文化財・文化活動省に関連する予備費。
b)2007年度の300,000ユーロについては、教育・大学・研究省に関連する予備費。
c)2008年度の300,000ユーロについては、外務省に関連する予備費。

5.第1項の適用から発生する経費については、197885日法律第468号の第11条、第3項、文字d)およびその改正に準じて対応し、2009年から施行する。

6.経済財政省は、同省令によって、必要な予算修正を行うことを認められる。

 
※具体的なサポート・メジャーズ、管理計画を作るにあたって周辺でやらなければいけないことにつき書いてある。基本は持続性ある観光。遺産を保存してそれを今度どういうふうに見せるかという、バランスの取れた関係に置くというのが目的のようである。文化的、芸術的、歴史的、環境的、それから科学的、技術的な課題の検討を行なう。世界遺産条約の3条、5条のA項、5条のC項というのがあり、それを比較的文言に忠実にどういう課題があるかを検討することを求めている。

※1項以下のb号とc号はa号を補充するもの。ホスピタリティ・サービスにはホテル業、博物館、観光案内所、ボランティアガイドなども含まれるだろう。また清掃、ゴミ処理、モニタリング、安全確保のアレンジ、近隣エリアの駐車場と移動システムの準備を整えるべきとしているが、遺産に対する影響を与えてはいけないということが書かれている。

※教育機関におけるイタリアの世界遺産に関する情報の伝搬、意識の向上は世界遺産条約の27条に大きく出てきたものである。

2項は行政的な話。文化遺産活動省だけの決定ではだめで環境省とか、あるいは国家と地域、関係協議会ときちんと合意を図った上で、最後は文化遺産活動省の命令で決めるとしている。c項は近隣エリアの駐車場あるいは移動システムの問題について5条で諮問委員会について言及されているので、そこの同意を得るべしという規定。

3項以下では予算措置について書かれている。諸課題の検討、周辺のいろいろなサービスの充実、それから教育につき毎年350万ユーロ、2006年から3年間かける。文化的なアシスタンスや清掃については2006年に50万ユーロ、2007年と2008年については30万ユーロというふうになっている。2009年以降はこの1978年法というのがあるようだが、恐らく現在イタリアは文化予算を大幅削減中なので、それらの中で一定を確保する内容になっているのではないかと推測できる。

 
 5(ユネスコサイトの管理計画および地域観光システムに関する諮問委員会)

1.ユネスコサイトの管理計画および地域観光システムに関する諮問委員会は、文化財・文化活動省内において発足し、法令20031127日に定める機能のほか、ユネスコイタリアサイト関連の問題について、同省の要請に応じて判断を下す。また本法律の第4条、第2項、第2節により見解を述べる。

2.第1項に示す委員会の構成メンバーは、各管轄機関の範囲において自らの機能を行使する。同メンバーに出席料または役職報酬は付与されない。

3.環境・領土保全省は、第1項に示す委員会の構成メンバーのうち、3名の代表者を任命する。

 
2003年にイタリアの世界遺産管理計画及び地域観光システム諮問委員会というのができた。そこにこのイタリアの世界遺産に関する意見を述べる権限を付与した。この2006年法の法律の執行に関し、特に専門家に意見を述べる権限を付与し、大所高所の意見をそこからもらえるようにしたという内容である。環境省からも3人の委員が出ている。イタリアの専門家は世界遺産条約5条のE号を受けた措置であるという整理をしている。



 

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